【ぶつかり合う正義】劇場版メイドインアビス 深き魂の黎明 レビュー

「アニメ映画でちょっとした幸せを」。

アニメ映画大好きブロガー古賀真夏です。

 

今まさにSNS等を中心に話題沸騰中のつくしあきひと先生「メイドインアビス」の映画作品「劇場版メイドインアビス 深き魂の黎明」をレビューします。レーティングがR15+指定ということでも話題になりました。

原作は漫画。2017年7月~9月にアニメも放映され大ヒット。それに合わせて2019年1月には「劇場版総集編メイドインアビス」も公開されました。そして漫画も面白くなるばかりで人気もうなぎ登りの中、原作でも大人気のストーリーにスポットを当てて今回映画化されました。

まだ連載中ですが発売されている漫画は読破済。アニメも観賞済です。ただ新鮮な気持ちで観たいこともあり、映画前に漫画を復習はしませんでした。個人的には久し振りの映画館でのアニメ映画だったのでテンション絶好調でワクワクしながら観に行きました。

レビュー

ストーリー: 32/40

作画: 8/10

音楽: 7/10

演技: 9/10

惹き込まれ度: 16/20

正義度: 10/10

総括: 82/100(観るべき&感動を与えてくれる)

真夏式アニメ映画レビュー基準

2019年7月29日

あらすじ(HPより抜粋)

隅々まで探索されつくした世界に、唯一残された秘境の大穴『アビス』。どこまで続くとも知れない深く巨大なその縦穴には、奇妙奇怪な生物たちが生息し、今の人類では作りえない貴重な遺物が眠っている。

「アビス」の不可思議に満ちた姿は人々を魅了し、冒険へと駆り立てた。そうして幾度も大穴に挑戦する冒険者たちは、次第に『探窟家』と呼ばれるようになっていった。

アビスの縁に築かれた街『オース』に暮らす孤児のリコは、いつか母のような偉大な探窟家になり、アビスの謎を解き明かすことを夢見ていた。

ある日、母・ライザの白笛が発見されたことをきっかけに、アビスの奥深くへ潜ることを決意するリコ。リコに拾われた記憶喪失のロボット・レグも自分の記憶を探しに一緒に行くことを決意する。

深界四層でタマウガチの毒に苦しむリコ。リコを救ったのは成れ果てのナナチだった。ナナチを仲間に加え、ボンドルドの待つ深界五層へと三人は冒険を進める。

そこで、プルシュカと名乗る女の子に出会い…

レビュー

ストーリー 32/40

原作のストーリーの完成度が非常に高かったので期待していましたが、見事に期待通りに仕上がっていました。決して交わることのないお互いの正義。まさに観た人に何かを訴えかけるようなストーリーは、観賞していて様々な事を考えさせられました。

アニメ映画を通してどのような事を観客に伝えたいか。原作を上手く捉えて映画化されていたと感じました。原作のストーリーの中でも一番人気と言っても過言ではない箇所だったので、本当に見応えも充分でした。

一点だけ。恐らく尺の関係上だったのでしょうが、最後が少し淡白だったような気もしたので、気持ち下げさせてもらっています。

作画 8/10

メイドインアビスの世界観が見事に再現されていました。アニメの時も素晴らしかったのでそのままだと良いなと思っていたのですが、それ以上の世界観を大画面で味わうことができました。

今回特筆したいのは最初のシーンと戦闘シーン。最初のシーンはぜひ観賞して肌で感じていただきたいと思います。世界観と相まって本当に哀愁が漂うような素敵なシーンに背筋がゾワッとしました。

戦闘シーンの作画も非常に丁寧でスピード感もあり、戦闘が売りになっている作品と近い所までの完成度を感じました。戦闘シーンが好きな方も楽しむことができる内容だと思います。

音楽 7/10

違和感も全くなく、作品の世界観に溶け込んでいたと思いました。作品の一番印象に残るであろうシーンについては音楽の効果もあり、感情がワッと溢れてしまうのを自分でも感じました。EDについても作品の余韻を壊すことなく、最後のクレジットまで作品に浸らせてくれる音楽でした。

演技 9/10

アニメで慣れていたこともあり、主要人物について問題なく受け入れることができました。特筆したいのは今回のストーリーの要ともいえる「黎明卿ボンドルド」と「プルシュカ」。二人の演技は本当に素晴らしいものだったと感じました。

原作のある映画かつアニメ調の作品については、作品を読んでいる個人個人でどうしてもイメージが出来上がり、原作を読んでいる時に声が自然と当てられてしまっている感覚があるかと思います。しかしながら本当に完璧。私個人としてはこれ以上までにない声、演技だったと感じました。

惹き込まれ度 16/20

現実ではありえない世界観に引き込まれる。アニメ映画の一つの大きな魅力を体現した作品だったと感じます。まさに世界観の部分だけでも大きく引き込まれていました。

あの原作の世界観がどのように表現されるのだろう。良い意味でも悪い意味でもあのシーンはどのように描かれるのだろう。原作を知っている身からすれば、先がずっと気になり続けていました。

作画でも書きましたが、個人的には戦闘シーンが良い意味で期待を裏切ってくれたことも大きかったです。戦闘シーンの迫力があることで日常的なシーンが続いても引き締まり、良いアクセントになっていたと思います。

私的には衝撃的な展開が多いので気分的に転転転結だった様にも感じますが、全体としてどの時間も飽きずに楽しむことができた素晴らしい作品でした。

正義度 10/10

人にはそれぞれ信念があり、正義とするものがある。作品を観ながらそんな言葉を思い出していました。今回の劇場版の主役と言っていい「黎明卿ボンドルド」ですが、非常に人気が高い理由に「全く芯がぶれることがない」ことが挙げられるかと思います。

彼の「愛」は一般のものからすればかけ離れていると感じられますが、彼にとっては紛れもない「愛」であり、疑うことすらない。どんな時も彼らしい信念を曲げることがない。というよりも曲げるという選択肢すら微塵も考えていない。

良い言い方をするのであればその一途さ、自分を信じ切っている姿に惹かれる方が多いのかなと感じます。私もいつの間にかその姿に惹かれていました。そして私と同様、リコもナナチも惹かれていた部分があったのかもしれません。

ある角度から見れば、彼の正義はヒーローそのものなのかもしれません。

総括 82/100

ただ映像で魅せるだけでなく、観賞した方に何か生き方を考えさせるメッセージを持っている。強いメッセージ性を感じる作品でした。加点項目でも書いたのですが、やっぱり「お互いの正義」という部分は注目すべき所があったように感じます。

「同じ物事であっても立場が変われば考え方も変わる」。これはすぐ身近な現実でも有り得る話であり、ボンドルドは常軌を逸していた気がしますが、構図としては同じようなものなのかもしれません。世の中角度が変われば視え方も変わる。一度客観的に考える良い機会をもらったように感じます。

少し何かが変わっていれば、解り合っていれば。きっとプルシュカが描いていた未来も訪れていたのではないでしょうか。観た人全てに何らかの考えるきっかけを与えてくれる。そんな素晴らしい作品でした。

 

余談

R15+ということもあり、耐性が全くない私は時折目を細くしながら観ていました。しかしながらそれを乗り越える価値は十二分にあり過ぎる作品だと思います。プルシュカの思い描いていた未来には涙を堪え切れませんでした。ぜひ劇場で体感していただければと思います。

 

 

コメントを残す